No.228
2007.4.25
 

企業の使命、幹部の役割

(1)

いよいよ新緑の5月を迎える。地上のあらゆるものが蠢き出した。多くの企業は4月より新年度に入る。新入社員も入ってくる。スポーツの世界も例外ではない。特に最近は大リーグに移籍した日本人選手の活躍ぶりが連日のように放送される。なにやら日本のプロ野球が小さく見えてしまうから不思議だ。

松井を欠いた巨人軍は最近パッとしないが、それでも「野球は巨人」と言われるが如く、巨人に対する愛着を多くの日本人が持っている。それは巨人が他の球団と一味違う側面を持っているからだろう。ただ「勝てば良い」という発想ではなく。今日でも正力松太郎オーナーの考え方がきちんとDNAの如く残っていることだろう。正力オーナーの考え方とは巨人軍のあり方、使命と言い換えても良い。
「巨人軍は常に強くあれ 巨人軍は常に紳士であれ
 巨人軍はアメリカ野球に追いつけ そして追い抜け」
あまりにも有名な言葉だ。これが脈々と受け継がれている。(最近はどうかな?)

かつては監督を始め選手、フロント、球団事務所の女子社員にまで浸透していたという。これは企業経営にもそっくりあてはまる。我社はどうありたいのか、どういう会社にするのか、その存在価値・役割、使命の追求だ。ただ「業績を上げればよい」の発想では場当り経営になってしまう。企業には哲学が必要だ。改めてそう思う。

(2)

新年度に入って当社でも第18期中堅幹部マネジメントスクールがスタートした。参加者一人一人と面談していると彼らの多くが役職についたのはよいが自分の役割が分らないという。TOPからのハナシも特にないらしい。まさに、さ迷える中堅幹部たち―である。しかし明確に自らの目標と役割を答えた者もいた。TOPからきちんと言われたという。これが本来の姿だと思う。新年度に入って思うこと様々である。

幹部に訴える(172)
部下指導(78)
〔面接技法―コーチングの実践(35)〕

―4つの小さな勇気―

ほめ方にも、お国柄があるようだ。日経新聞(3月26日)によると、東京・北京・ソウルの三大都市の子供(小学4〜6年)が良い成績をとった時の親のほめ方が紹介されていた(右図参照)。
ほめ方としては
@ 言葉でほめる
A モノを買い与える
B もっと頑張れと励ます
C 特にほめたりしない
の4つのパターンに分かれている。
それによると―
日本人(東京)は「言葉」でほめる
東京は子供が良い成績をとったとき「言葉でほめる」が72%と断トツである(北京は40%、ソウルは35%である)。モノを買ってやることはあまりしない(モノがあふれている今日、むしろ賢明かもしれない)。
中国人(北京)は「もっと頑張れ」と更に励ます
北京は「もっと頑張るように励ます」が75%もあり、これまた他を圧倒している(東京、ソウルは大体が20%程度である)。何やら急成長する中国経済を見ているようで面白い。こうして益々中国は成長していくのかも知れない。
韓国人(ソウル)はモノを与えてほめる
ソウルでは東京と同じように「言葉でほめる」が一番多いが、他の都市との比較では「ほしいものを買ってくれる」が群を抜いている。モノを与えてほめるようだ。

ほめ方にもお国柄があって面白いなとは思うが、ちょっと気になることがある。せっかく良い成績をとってきても「特にほめたり何かしたりしない」が日本では15%あり、他の二つの都市の2〜4倍もある。一体これはどうしたことか。
叱る時は勇気がいるが、実はほめる時も勇気がいる。一番よくないのはほめも叱りもしないことだ。ほめ、励まされ、叱られたりしながら人(部下)は育つことを考えれば、親が子供を、上司が部下の行動に対し何も反応しないことほど怖いことはない。
これでは家庭や職場は停滞ムードだろう。このことを思うと前述の15%がいやに気になる。
実は親に限らず、そんな幹部が企業内には結構いるものだ。「面倒くさい」のか「人間が分っていないのか」「部下の仕事振りに関心がないのか」「部下を見る余裕がないのか」あるいはもともとそうした人間性(性格)なのか。部下の成長と部門の業績を真剣に願うならも少なくとも次の4つの勇気を持って欲しいものだ。

1つは(間違った行為を見つけたときの)叱る(注意する)勇気である。
間違いを正し再発を防ぐことを目的として行う。叱り方にもよるが一時的に双方で険悪なムードが漂うかも知れない。しかしそれを恐れていては叱れない。だからちょっぴり勇気がいる。嫌われることを嫌うのでは良い指導者とはいえない。しかし最もよいのは頭ごなしでなく部下に気付かせるやり方だ。
2つは(良い仕事振りに対して)ほめる勇気だ。小さなことでも認めてほめてみる。これもちょっと勇気のいることだ。ほめたことのない幹部はほめることに抵抗感がある。照れくさくてほめられないという幹部はちょっと勇気を出してほめてみよう。
3つは(部下がやりたがらないことに対して)指示・命令する勇気。反発をくらうこともある。特に突然の予定変更や緊急事態に対して協力をあおがなければならない場合はやっかいである。普段の信頼関係がベースとなる。言葉のかけ方に最も気をつかうケースだ。気の弱い幹部としては叱る時と同様何となく気の重くなる場面だがちょっぴり勇気をもってあたってみよう。
4つは(隠したいことを)報告(公表)する勇気だ。自らの犯したミスやクレームを率先して報告する勇気だ(前号の今月の言葉参照)。最近は大手企業の隠蔽体質が問題になっているが、言語道断である。幹部のみならず経営トップまでが関与しているから尚更だ。それほど報告(公表)することは難しい。だからこそ勇気が必要なのである。

以上

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