〔途上国二題〕
今年の梅雨は中々明けない。長野県や九州地方の記録的な豪雨による痛ましい被害状況が連日テレビ画面に映し出される。洪水・土砂崩れ・土石流、そして家屋の浸水、倒壊。地球温暖化が原因かどうか分からぬが毎年、性懲りも無く繰り返されている。経済大国とは言うが、国土を守る点ではまだまだ発展途上国並みである。
イタリアの優勝でその華やかな幕を閉じたワールドカップ。日本は一次予選で簡単にうっちゃられ、再び世界とのレベルの差を見せ付けられた。サッカーではまだまだ途上国である。新しくオシム監督を迎えて再出発を期するとのことだが、中田を欠いた4年後に期待したい。
ところで、今回のワールドカップで最も話題になったのがフランスのジタン選手の行為だ。イタリアのマテラッツィ選手に頭突きを食らわせ退場。両選手に罰金等の処分が下され、一件落着はしたものの、後味の悪い結末となった。
我々日本人はサッカーとは「足と頭だけでなく口も使う」ことを初めて知ったのではないか。お互いに相手を侮辱する口撃を繰り返しついにジタンが切れたらしい。
スポーツの世界での積極的攻撃は素晴らしいが、口撃は人間の人格や心を傷つける。ワールドカップでは当たり前のことらしいが、ここまで学ばなければサッカー大国になれないのか?となるとおとなしい日本の将来は暗い?
幹部に訴える(165)
部下指導(71)
〔面接技法―コーチングの実践(28)〕
今月はE社(メーカー)の現場責任者の事例を紹介しよう。
部下20人を抱えるA主任(女性・45歳)は毎日現場で忙しく働いていた。女性中心の職場である。いくつかのグループに分かれているとはいえ、20人の部下を動かすことは大変である。
つい先日の昼休み少し前、部下のBさん(女性、50歳、勤続8年)がつかつかとA主任の側に来るや「ワタシ、ダメダァー」と投げ出すように言ってきた。
A主任「なにがダメなの?」
Bさん「帰らせて下さい!」かなりきつい口調である。
Bさんは体調があまり優れず、医者にかかっていたこともある。しかし、業務に支障をきたすほどではなく、最近は元気である。家庭面ではかなり複雑でそれなりに悩みは抱えている。気にかかる点はいくつかあった。しかし、毎日の仕事振りは真面目であり、ほとんど問題は無い様に見える。
A主任「どうしたの?帰るの?」
Bさん「もう仕事したくありません!」
A主任「何で?」
Bさん「ダメダァ〜」
再び「ダメダァ」を繰り返し泣きべそをかき出した。
これは何かあるなと感じたA主任は立ち話ではまずいと思い、会議室へ誘った。彼女は優しく問いかけた。
「どうしたの?」
少し落ち着きを取り戻したBさんは、目に涙を溜めながらポツリポツリと話し始めた。
Bさんのグループ(4人)には先輩格のCさんがいるが、このCさんが命令口調できつく当ってくるらしい。
「Bさん!その仕事が済んだらこれをして!その次はこれをね!」と。
Bさんは自分で段取りを考えながら一生懸命やっているつもりが、更にあれをやれ!これをやれ!とせきたてられているようでついていけない。今回だけでなく、これまでも何回もあった。ガマンしてきたが、もう限界だという。
しかし4人のグループはA主任からみれば仲の良いグループに見えた。確かに先輩格のCさんは仕事の内容(流れ)が良く分かっており、まかせられているという強い責任感を持っている。それがきつい言葉となって出てくるのだろう。
A主任「いつも仲良くしてお互いの気持ちが知れているのだから、自分の気持ちはCさんに言えるはずだけど…どうなの?」
Bさん「先輩のCさんは私が何でも出来ると思っている。でも、私はそんなに出来る人間じゃあないので言いにくい・・・」
Bさんは自分ひとりで考え込んでしまうとさびしくなり不安になる性格だ。ここは彼女の存在(感)を認めてあげないと一層不安感をもつだろうと考えたA主任は次のように言った。
A主任「帰ってもいいよと言ってあなたが帰ってしまったとしたら、どうでしょうね。せっかく頑張ってきたのに、あなたの信頼を失ってしまう。Bさん!あなたはウチの職場ではなくてはならない人なのよ。例えばCさんには出来ないけどあなたには出来る仕事もあるでしょう?」
Bさん「はい、あります」
ここでふとA主任はBさんの身体のことが気になった。
A主任「ところで体調の方はどうなの?」
Bさん「実は…。今、足の具合が悪く、シップしてるんです」
A主任「えーっ!それは知らなかった。どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」
Bさん「仕事をさぼっていると思われるのがイヤで―。つい言えませんでした」
A主任「ここのところ、かなりムリしていたのネ。気付かなくてごめんね」
Bさん「いえ、とんでもありません。主任にもっと早く報告すべきでした」
A主任「足の具合が悪く、自分の体が思い通りにならないために弱気になっていたのかな?」
Bさん「ハイ、スミマセンでした」
A主任「大事なBさんをほっとくわけにはいきませんよ。もうそろそろお昼だけど、昼食休憩して、午後はどうする?」
Bさん「ハイ、仕事します、頑張ります」
A主任「それはよかった」
Bさん「あ〜、やっぱりA主任と話をしてよかった」
先ほどのしょぼくれた顔はどこへやら。すっかり元気を取り戻したBさんは昼食休憩に入った。
A主任はしばらくの間BさんとCさんの仕事場を少し離す事にして様子をみることにした。
CさんはA主任の目の届かないところではかなりきつくメンバーに当っているらしい。前々から注意はしていたのだが、相変わらずなおっていないようだ。責任感が強いことはありがたいことだが―。A主任の次の悩みが始まった。
以上
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