No.212
2005.12.25
 

目に見えないものこそ大切

杜の都仙台の“光のページェント”。12月12日に100万個の豆球が一斉に点灯した。今年20回目の節目を迎えたが、スケールの大きさで全国的に有名になった。
この成功のカゲには、実行委員会の並々ならぬ努力があることを忘れてはなるまい。準備から期間中の運営、そして後始末。我々には見えないが、このボランティア活動に心から敬意を表したい。

さて、企業の業績には、二つの側面がある。一つは目に見えるもの、あるいは目で確かめることのできるもの。例えば売上高、利益、生産性などである。もうひとつの業績は、目に見えないものだ。それは信用であり、イメージであり、独自のブランドだ。我々はともすれば目に見えるものの方に注意がいきがちだが、ゴーイング・コンサーンの考え方で言えば、目に見えないものの価値が高い。

この年末に、突然振って沸いたように起こった耐震強度偽装事件。毎年、様々な事件や事故が起きているが、これほど我々に身近でショッキングな事件は珍しい。素人には、立派な外観は見えるが、鉄筋の数など見える筈が無い。その見えないところを手を抜いたが為、高業績を誇っていた建設会社や設計会社が一瞬にして破綻した。
小生もマンションに住んでいるがつい先日、エントランスの掲示板に張り紙があった。「当マンションは調査の結果問題ありません。なお、詳細については・・・云々・・・後日ご連絡致します」とある。なんだか落ち着かない年末になりそうである。



幹部に訴える(159)
部下指導(65)
〔面接技法―コーチングの実践(22)〕

先月号で紹介したX社のA君。あれから1ヶ月余りが経った。その後の彼の働き振りはどうだろうか。少し気になる。直属の上司や関係者に聞いてみた。
かつてのA君は、いつも他人の後ろからついていくような消極的な人間であった。自分の担当業務が終わっても、ただじっと待つだけの完璧な指示待ち族。仕事を早くマスターして「私はこれが出来ます」と言えるようになって欲しいと上司はかねがね考え、またそう指導もしてきた。しかし今ひとつ行動力が伴っていなかった。成長速度が遅い。そんなとき業界主催のボーリング大会が行われ、あの事件(?)が起こったのである。
笑われてショックを受けたA君に対して
「君は人気者になったよね」
「あのときのA君のパフォーマンスは良かったよ」
「目立っていこうよ」
上司からの思いもかけないこれらの言葉は、A君の心に革命を起こしたようだ。

その後の会社主催のボーリング大会は、もちろん喜んで参加した。もう笑われても平気だった。人気者になったのである。考え方ひとつでこうも人間は変わるものか―と思わせるほどである。
仕事面でも大きな変化を見せ始めた。まずひとつは受身から能動的に切り替わってきたことである。例えば2〜3日前、ある難しい仕事が入り、上司が誰にやってもらおうか考えていた矢先、A君が自らすすんでやることを申告している。「私に任せてください」と。びっくりしたのは上司である。思わずA君の顔を覗き込んでしまった。
もう一つは、人の後ろではなく前に立つようになったことである。これも最近始めた職場改善の小集団行動で、メンバーからチームのリーダー役に推され(ボーリング大会の人気者が一役かったのか)、これを素直に引き受けている。従来のA君であれば、尻ごみして決して受け付けなかったであろう。

更に驚くべきことは、チームリーダーとしての責任感がそうさせるのか「ここのところはこのようにしたらどうだろう」と積極的に発言し、チームを引っ張っていることだ。そして更に上司にもデータの取り方、まとめ方(フォーマット)、グラフ化などについて提案し、「よろしければ私がやりますので」と了解をとっている。
このA君の変身振りに、X社の社長も専務も、そして直属の上司も舌を巻いてしまった。
しかし、何よりも嬉しいのは、苦虫をかみつぶしていたような顔付きをしていたA君に最近自信に満ちた笑顔がみられるようになったことである。

今年を漢字一文字で表現すれば「愛」だそうだ。「愛」に満ち溢れた年だったのか「愛」に欠けた年だったのか?世相的にはどうも後者のような気がする。来年は少しでもこの「愛」を取り戻せる年にしたい。
本年もご愛読ありがとうございました。2006年もまたよろしくお願い致します。

以上

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