【JR西日本の脱線事故と企業経営】
107名の死者を出したJR西日本の福知山線脱線事故から1ヶ月が経った。結果が起こってから、したり顔で騒ぎ立てるのがマスコミだが、実際現場に立つ人間にとって、これほど辛いことはないだろう。確かに今回の事故は痛ましいものであった。数多くの事故原因が挙げられている。どれもこれもごもっともである。数秒を競う超過密ダイヤ編成が大事故の背景にあったことも事実であろう。
ただ残念でならないのは(少し厳しい言い方になるが)、JR西日本の経営陣が、経営を知らなかった(経営をしてこなかった)ことである。今回の事故の本質的な問題はここである。
企業経営で最も大事なことは何か。一言で言えば、「我社がつぶれるとしたら(あるいは倒産に匹敵する大打撃を受けるとしたら)何が考えられるか(=weak
point)に絶えず関心をはらい、そうならないための手を打っておくこと」につきる。業績が好調であっても、この視点が抜けるとあっという間に企業は転落する。多くの企業倒産の歴史がそれを証明している。
weak pointは、業種に関係なく共通する部分もあるが、一般的には業種・業態・企業規模により異なる。例えば、食品会社なら中毒事件などを引き起こす衛生管理の不備(雪印が良い例)であり、建設会社なら、安全管理の不備や談合体質。小規模企業なら、トップの健康問題や後継者(育成)難などが挙げられる。
JRのような旅客輸送会社のweak pointは、「多くの人命を失う大事故」であることは言うまでもない。よりよいサービスのため、快適性・利便性を追及するのは当然のことである。しかし、企業の存続を真剣に考えるなら、経営トップは常に「我社がつぶれるとしたら何が考えられるか」を考え、先手先手で手を打つこと。これが最も大事な経営者の仕事である筈である。この経営鉄則が抜けていた。換言するなら、「表面的な顧客満足を追及するあまり、真の顧客満足(人の命を守る)に立脚した経営をしてこなかった」ことが今回の事故の最大の要因であると思うがどうだろうか。
幹部に訴える(152)
部下指導(58)
〔面接技法―コーチングの実践(15)〕
「叱り」と「褒め」を通して、部下を育てる―とは昔からよく言われることだが、叱るにしても褒めるにしても「フォロー」が大切だ。
これまでも、叱った後の「フォロー」の重要性を訴えてきたが、現実は「叱れない幹部」があまりにも多いのに愕然とする。その叱れない理由@部下に弱味を握られている、A部下からの反発が怖い、B部下の人格を否定するようで臆病になる、Cギスギスしてチームの結束が壊れることへの恐れ……。これらの本質は、自分を良く見せたい、あるいは仲良しクラブ的人間関係を壊したくないという保身からきている。しかし「フォロー」という技術を知れば、保身から脱却できる。
叱る時は、部下が卒倒するほど自身をもって叱って良いと思う(コーチングの精神に反するかもしれないが、時と場合による)。それ位の迫力が幹部には必要だ。真剣であればあるほどそうなる筈である。だが、叱ったあとのフォローがきちんと出来るかどうかで結果は雲泥の差となる。適切なフォローによって叱られた部下は救われる。そして叱られた意味を素直に感じ取るものだ。ただ注意すべきは、権威的にふるまったり、本人の人間性を否定するようなやり方(言葉づかい)はまずい。相手をやっつけてしまうだけで愛情が感じられない。あくまでも事実をしっかり叱ること。叱るときのサイクルは下図のようになる。

ヤル気向上に繋がらないような叱り方は、人間愛に満ちた叱り方とは言えない。実際どんなに厳しくしかろうが、上記のサイクルをきちんと廻している部門長の率いるチームは結束力が強い。
褒める場合はどうか。実は褒める場合も同様に「フォロー」を忘れないことだ。褒めるにも「フォロー」が必要なのか?と思いがちだが、この場合のフォローとは質問である。
ナゼそのような褒めるべき行動(成果の獲得)が出来たのか―を質問してみる。褒められた部下にとっては更に嬉しいことである。
例えば、クレーム処理をきちんとこなしたA君に対し、「いやー、A君さすがだネ。この難しいクレームにきちんと対応してくれた。先方から逆に感謝されたよ」「ところで今回のクレーム処理の秘訣を教えてくれないかな」とか「何が良かったのだろう?」などと、うまくいった理由を考えさせたり、次の展開に結びつけるアイデアを出させたりすることで、部下の更なる成長を促すことが出来る。その結果、部下はますます自信を深めることになるだろう。褒める時のサイクルは以下のようになる。

以上
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