【オバアチャンの戦略】
数年前、アメリカで104歳(勤続80年)のサラリーマン、ミルトン・ガーランド氏が紹介され、話題になったことがある。人間は目標や仕事をもてば活き活きと年齢に関係なく働ける。
先日(11月13日)、第25回全日本マスターズ陸上競技選手権鹿児島大会で、女性最高齢の南部久子さん(92歳)は砲丸投げに出場し、2メートル93を記録し話題になった。
彼女の夫は1932年ロサンゼルス五輪三段跳びで金メダリストの故南部忠平さんである。年とともに足腰が衰え、普段は立ち上がるときも支えが必要らしいが、亡き夫や娘(34年前交通事故で死亡)との家族とのつながりを思い投げたと言う。
山形県の庄内に60年間、魚の行商を続けているオバアチャンがいる。今年85歳の現役である。鼠ヶ崎の自宅が漁師であり、毎朝とれた新鮮な魚を背負い、列車に乗って余目(あまるめ)駅までくる。その荷物は30kgもある。ズシリと重い。若者でも大変だ。彼女によると、昔は行商しながら米を買い、1俵(60g)を背負って帰ったという。
最近はスーパーも出来て昔のように売れなくなったが、それでも固定客は多くほとんど毎日、リヤカーを引いて売り歩いている。
「あまり儲けはありません。ボケ防止ですよ」と笑っているが、何故そんなに固定客が多いのかを聞いてみると、「スーパーにはない新鮮な魚」と「とびきりおいしい高級魚に絞っている」という。北海道からも一級品のすずこ、たらこ、などを仕入れているらしい。これが結構高いが、一度食べた人は「スーパーの魚は食べられない」と言って待ってくれているそうである。
このオバアチャンの商品戦略、さすがである。
幹部に訴える(146)
部下指導(52)
〔面接技法―コーチングの実践(9)〕
前号でほめることはお互いの身体(の水)に美しい結晶を結び、良い影響を及ぼしあうことを紹介した。ところで、ほめることの重要性は、仏典の中にも紹介されている。道元は正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)(菩提(ぼだい)薩?(さつた)四摂法(ししょぼう)の巻)の中で教えを説く者の心構えとして、@布施(ふせ)、A愛語(あいご)、B利行(りぎょう)、C同時(どうじ)の4項目を挙げている。これらは、相手を自分に引きつけるための必須条件である。この中でA愛語は、文字通り、お世辞やおべんちゃらではなく、愛の心をもって「ほめなさい」「思いやりのある優しい言葉を使いなさい」という意味である。
少し難しいかも知れないが、愛語について原文から抜粋して紹介してみる。
「愛語(あいご)といふは、衆生(しゅじょう)をみるにまづ自愛の心をおこし、顧愛(こあい)の言語をほどこすなり。…(省略)…徳あるはほむべし、徳なきはあはれむべし。愛語をこのむよりは、ようやく愛語を増長するなり。しかあれば、ひごろしられずみえざる愛語も現前するなり。現在の身命の存せらんあいだこのんで愛語すべし、世世(せぜ)生生(しょうじょう)にも不退転ならん。怨敵(おんてき)を降伏(こうぶく)し、君子(くんし)を和睦(わぼく)ならしむること、愛語を根本とするなり。むかひて愛語をきくは、おもてをよろこばしめ、こころをたのしくす。むかはずして愛語をきくは、肝に銘じ、魂に銘ず。しるべし愛語は愛心よりおこる、愛心は慈心を種子(しゅうじ)とせり。愛語はよく廻天のちからあることを学すべきなり。ただ、能を賞するのみにあらず。」
現代語に訳せば次の通りである。
「愛語というのは、生きとし生ける者全てにいつくしみ、愛する心を持ち、心にかけて愛の言葉を語ることである。…(省略)…徳あるものは褒めるがよい。徳なきものは哀れむがよい。
その愛語をこのむところから、いつとはなしに愛語は成長していくのである。そうすれば、日頃は思いもかけぬような愛語もふっと現れてくるようなこともある。だから、いまのこの身命の続く限りは、このんで愛語するようつとめるのがよい。またこのことは、未来永劫変わらぬものである。
にくい敵を降伏させるにも、君子として仲むつまじくさせるにも、いつも愛語を根本とするのである。面と向かって愛語を聞けば、自ら面(おもて)によろこびがあふれ、心をたのしくするであろう。人伝えに聞こえてくる愛語は肝に銘じ、魂をゆり動かすであろう。けだし、愛語は愛心よりおこるものであり、愛心はまたいつくしみの心を種子としてなれるものだからである。愛語は人を180度変えてしまうほどの力を持っていることを学ばなければならない。ただ能力あるを賞するのみではいけないのである」
まとめれば、こんなことになるだろうか
@
愛語を使うことを意識しなさい。そうすれば日頃の小さなことでも自然と使えるようになる
A
面と向かっての愛語は心を楽しくさせるが、伝え聞く自分に対する愛護はそれ以上に嬉しいものだ
B
愛語は人間を良い方向に180度変えてしまう力がある
C 愛語のベースはいつくしみの心である
D
ただよく出来たからほめるというだけではダメだ。普段から「お疲れ様」「お大事に」「ご機嫌いかが」という思いやりの言葉も大事だよ
以 上
|