No.193
2004.04.25

〔敵は内にあり〕

 今年3月期の上場企業の決算では、過去最高益企業が続出している。中でもトヨタがついに(連結)1兆1620億円という途方もない利益をたたき出した。一つは海外戦略が功を奏し、販売台数を大きく伸ばしたことが大きい。二つは年間3000億円にも達するコストダウン効果である。
 国内販売台数は、ここ5〜6年ほど横ばいであるが、それでも国内シェアは42.9%と依然としてダントツである。まさに「敵なし」。「トヨタの敵はトヨタ」と言い切る奥田会長の言葉が印象的だ。
 実は我々中小企業が学ぶべきは、全社員の知恵を結集してトコトンコストダウンに取り組むこの姿勢である。
 実際、中小メーカーで「今年は○○千万円のコストダウンをしよう」と具体的に目標を決めて取り組む企業は少ない。環境が上向いてきたとはいえ、トヨタ流で考えれば年商の少なくとも1%程度のコストダウン目標をたて、これを毎年続ける。10億企業なら1000万円である。これはキツイと思うなら、「敵は内にあり」である。

幹部に訴える(141)
部下指導(47)
〔面接技法―コーチングの実践(4)〕

 今月は実際にM社で行ったコーチングの具体例を紹介しよう。
相手のK君は30才の中堅営業マン。彼の売上目標達成に向けてのコーチングである。
K君は1日の訪問活動を終え、今帰ってきたばかりである(Q(質問)は小生、A(答)はK君である)。

Q1「(社長からKさんが体調不良と聞いていたので)体調はどうですか―。」
A1「3ヶ月前に腹部が痛くて立てないほどでした。それが背中へきて、医者へいっても分からないようです。精神的なものかも知れませんが、子供のころ腎臓をやったことがあり、それとの関係があるかもしれません。」

Q2「そうですか。それは十分気をつけて下さい。ところで、今日は何件訪問しましたか。」
A2「既存客12件と新規2件でした。」

Q3「いつもの営業の訪問パターンは、どんな具合ですか?」
A3「大体平均的に言うと、7時に自宅を出て、7時40分会社着。9時に出発して、17時〜18時頃帰社します。20時に会社を出ます。疲れが溜まると痛くなりますね。」

Q4「休みはとれていますか。」
A4「何とかとれています。」

Q5「ところで今月(5月)のあなたの売上目標はいくらでしたっけ?」
A5「173万円です。」

Q6「5/24現在の売上状況と今月の見込みはどうですか。」
A6「5/24までのところ、148万円とっています。これは確定分です。」

Q7「そうすると、あと25万円ですね。どうですか、いきそうですか?」
A7「手持ち情報が少ないのでちょっとムリかもしれません。」

Q8「先月(4月)はどうでしたか?」
A8「目標200万円に対し、165万円でした。」

Q9「35万円不足したわけですネ。」
A9「えー、ハイそうです。」

Q10「ところで、4月・5月の目標は高すぎましたか?低すぎましたか?それとも
    目標の立て方に問題ありましたか?適切でしたか?」

A10「・・・適切だったと思います。」

Q11「あーそうですか。それでは来月(6月)の売上目標を確認しましょう。
    6月の目標はいくらですか?」
A11「6月は193万円です」

Q12「193万円ですが、この目標は適切ですか?やってやれない目標ですか?」
A12「適切だと思います。やってやれないことはないと思います。」

Q13「そうですか。やってやれないことはない―。193万円やりたいですね」
A13「はい。」

Q14「ところで、もっといい目標をたてるというのはどうでしょう。」
A14「もっといい目標?ですか」

Q15「ハイ、もっといい目標です。4月・5月分の不足が50万円ありますネ。
    それを取り戻す。つまり、193+60万円=253万円というのはどうでしょう。」
A15「えー253万円ですか。ちょっとムリだと思いますが―。」

(次号に続く)

以  上

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