No.192
2004.04.25

〔不安と不信〕

この3月に六本木ヒルズの森ビルで自動回転扉による児童(6才)の死亡事故があった。六本木ヒルズは昨年4月にオープンしているが、僅か1年弱ですでに32件の自動扉による事故が発生していたという。この間、チョコマカとした表面的な対応策をとってはいたが、根本的な対策は全くとられていなかった。救急車にお世話になるほどの事故が数多く発生していたにもかかわらず ― である。

今回の事故で思う事は、かの有名な「ハインリッヒ」の「1:29:300の法則」である。これにあてはめて言えば今回の事故は「1:32:何百」ということになる。多分ヒヤリ・ハット事故は何百とあったに違いない。実際小生もオープン直後(昨年の5月の連休)、森ビルのあのドアを利用したことがあるが、何となく不安だったのを覚えている。そして不安が不信へと増幅された。

似たようなことが我々の現場でも同様に起こっている。
重大クレームの背景には数多くの未発見のクレーム(潜在クレーム)がある筈。
情報にいち早く全社流し、まず問題の共有化を図るところから改善がスタートする。
森ビルはこれを怠った。そのつけは大きい。

― 幹部に訴える(140)
部下指導(46)
[面接技法 ― コーチングの実践(3)]

 ビジネスコーチングは「部下の無限の可能性を信じ、彼の持てる能力やヤル気を、ある一定レベル(目標)まで引き上げていきために上司がサポートしていく手法」である。決して上から引っぱり上げる(あるいは押し付ける)やり方ではなく、部下の心の中に眠っている建設的な考え方や能力を的確な質問と聴く姿勢を通して引き出そうとするものである。主体はあくまでも部下である。従って少し時間はかかる。忍耐力がいる。生半可、優秀でせっかちな上司(大体優秀な人間は短気でせっかち型が多い)は、部下が考えるスキを与えず、ポンと結論(部下のやるべきこと)を示してしまうが、これではいつまでたっても部下は育たず自立できない。大切なことは、自らが考え、判断し、自発的に行動をおこす人材を育てることである。その点コーチングは現場で使える目標管理やOJTの実践的手法とも言える。
 さて、コーチングは、「聴く」 姿勢と「訊く」(質問する)技術がベースとなるが、その全体像をはっきりさせてみよう。

 コーチングの全体像(構造)は問題解決の手法と実によく似ている。ご存知の通り「問題とはあるべき姿=目標と現状とのギャップを言う」がコーチングも同様である。まずこのギャップをつかむことから始まる。次にそのギャップを埋めるためにどのような手段・方法があるかを部下に質問を繰り返しながら考えさせ、それを明確にしていくのである。

具体的に説明すれば、以下のようになる


1.(的確な質問を繰り返しながら)目標を明確にする
 a.漠然とした目標を具体的にハッキリイメージできる目標づくりへ導いてあげる
 b.その目標は本人の実力より少し高めに設定するよう導く(あくまでも部下が自分の
   心で決めるようサポートする)
 c.目標が大きければ、期限を切って、中目標・小目標と小さく設定し、達成し易くなる
   よう導いていく

2.(的確な質問を繰り返しながら)現状レベルの把握をする
 a.現状どのレベル(水準)にあるのかを確認する
 b.どこに問題があるのかをつかむ

3.(質問を繰り返しながら)目標達成のための新しい手法(を考えさせる)
 a.新しい手法を出来る限り考えるよう導く(問題解決の手法のオズボーンのチェック
   リスト法やブレーンストーミング法をとるのも良いだろう)
 b.多くのやり方の中から最善の方法を選択する

4.(質問を繰り返しながら)資源の活用(が出来ないかを考えさせる)
 a.資源とは、ヒト、モノ、カネ、情報、時間などいわゆる経営資源である
 b.目標を達成させるにはどんな経営資源を活用できるか、あらためて考えさせる(導く)

5.(質問を繰り返しながら)まとめ・やる意志(を確かめる)
 a.まとめとして「いつやるか」「それは今日の午後3時からなのか」などはっきりさせる。
   またとで―という先送りではなく即行動である
 b.要するに最終目標に向ってのスケジュール化である。期間が長ければ中間チェック
   ポイントをいくつか設ける

以  上

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