今月の言葉
〔新入社員 只今特訓中!〕
厳しい寒さもやわらぎ始めた3月下旬の早朝。仙台市内のある全国ネットのレストラン。部屋の隅の方で白いエプロンをした2人の女性が、立ったままお互いに向き合って何やら話しをしている。どうやら先輩社員と今年入社したばかりの新入社員のようだ。新入社員らしき女性はさかんにうなづいている。
しばらくして動作が始まった。 厨房から客席までの歩き方、挨拶の仕方、オヒヤの運び方、置き方、下げ方。 さらには料理の運び方、4つのお皿を同時に運ぶ手の平と腕の使い方、挨拶の仕方、配膳の仕方、下げる際の言葉のかけ方、さげ方、コーヒーの出し方、追加するときの入れ方…。 微に入り細に入りである。同じ動作を何回も繰り返す。その間先輩は動きをじっと見つめながら、ノートに一つ一つ書き込んでいる。 先輩が席を外したあとも一人で黙々と基本動作を続けている。彼女の動きはまだぎこちない。しかしもう数日もすれば、さわやかな笑顔で我々を迎え入れることだろう。真白のエプロンをしたピカピカの新人は只今猛特訓中である。
―
幹部に訴える(139)―
部下指導(45)
[面接技法 ― コーチングの実践(2)]
コーチングには、パーソナルコーチングとビジネスコーチングがあるが、前者と後者ではやり方がかなり異なる。前者はお互いが全く知らぬ同志であっても可能であり、直接の面接も必要ない。電話のやりとりでも十分可能である(但しこの場合は相当高度な技術を要するが)。自己啓発や生活上の目標や悩みの相談を受けながら、その目標等の実現のためにサポートしていくのである。お互い顔を知らなくても良い。
一方、後者のビジネスコーチングは一般に上司と部下との間で行われるものであり(年齢の上下は関係ない)上司は部下の業務をある程度知っていなければならない。専門的知識や技術、あるいは管理上の問題が出てきた時、そのことを理解できないと前へ進まないだろう。そこでお互いが顔を合わせての面接スタイルのコーチングとなる。我々が扱うのはこのビジネスコーチングである。
ところでコーチングは「如何に眠っているやる気を外に引き出していくか」にあるが、そのためには相手の考えを引き出す質問の技術がポイントとなる。質問の仕方によっては相手が逆に心を閉ざしてしまう場合もあるからだ。しかしビジネスコーチングの場合、それより以前にもっと重要なことがある。部下との信頼関係だ。これがなければビジネスコーチングは失敗する。更に相手がノイローゼ気味であったり、健康を損ねている場合もムリがある。従ってコーチングスキルさえ磨けば誰でも、誰に対してもビジネスコーチングが出来るわけではない。ではビジネスコーチングの前提となる部下との信頼関係をどう築くか。
1.(愛情)部下の成長を心から願う深い愛情があること
残念ながらアテネオリンピックには選ばれなかったが、マラソンの高橋尚子選手と小出監督の関係をみれば分かるだろう。
部下の成長を願わない幹部はいないと思うが現実はそうでもない。追い越されることの恐怖心から、部下の能力の芽を摘み取ってしまう幹部もいる。あるいは放任主義をきめ込む幹部もいる。 |
2.(実績)日常業務において実績を上げていること
| 実績のない上司を誰も相手にはしないだろうし、そんな人からコーチングを受けたいとは思わないだろう。 |
3.(実行一致)言っていることとやっていることにギャップがないこと
| 一番不信を買うのはこれだ。口では立派なことを言っているがやっていることはまるで逆。部下には遅刻はするな!と言っておきながら自らは堂々と遅刻をしてくる。 |
4.(忍耐力)忍耐強いこと
5.(常識)一般常識・マナーが欠落していないこと
| 常識のない幹部は、部下から見下されるのがオチ。コーチングの資格ナシ。 |
大体こんなところだろう。
さて、信頼関係は出来たとして次に具体的コーチング技術に移ろう。
以 上
|