| No.186 2003.10.25 今月の言葉(特別編) 10/20付の朝日新聞(朝刊)によると「全国の主要企業100社(製造業50社、非製造業50社)に対する景気アンケート」の結果、90%近くの大企業が景況感は急回復していると回答している。その背景には好調な輸出とリストラを中心とした企業業績の改善がある―と分析している。 ところで中小企業はどうなのだろうか。大企業のように回復感を感じているのだろうか。 35%の企業が夏期賞与0 当社ではこの9月下旬〜10月上旬にかけて東北の中小企業60社(製造業20社、建設業13社、小売業9社、卸売業5社、サービス業その他13社)に対して夏期賞与支給実態調査を行った。調査方法は「電話による聞き取り調査」。昨夏との対比も聞いてみた。 その結果、支給ゼロの企業が21社(35%)にも達していることが分った。昨夏は17社(28%)であり、4社増である。かってはそのほとんどが夏期賞与を支給していた企業であることを考えるとここ数年「ゼロ」企業が増えているものと推察される。 ちなみに「寸志」程度(=平均3万円前後)支給と回答した企業を含めると実に44%(昨夏35%)にも達する。中小企業の半数近くが夏期賞与ゼロ状態と言えそうだ。 平均支給率は0.64ヶ月 今回の調査は「夏期賞与を基本給の何か月分支給したか」という設問をしている。ただ、基本給そのもののとらえ方があいまいなところもあり、正確性に若干欠けるキライはあるが大概の傾向はつかめた。 60社の平均支給率は「0」回答を含めると、今夏、0.64ヶ月、昨年は0.74ヶ月であった。昨対0.1ヶ月分減っている。 もう少し具体的にみれば、昨年よりアップした企業は60社中僅か3社。逆に低下した企業は19社にも及ぶ。アップした3社のうち2社は収益に貢献しない経営陣、幹部陣のリストラによる収益改善、残りの1社は大手取引先に技術力が認められ、今後安定受注が見込まれることによるものである。
「支給なし」 が多数を占める中で、逆に毎年2.5ヶ月分を安定的に支給している企業も2社ある。1社は建設業(土木)、もう1社は不動産業である。皮肉?にも、この2社はもっとも厳しい業界に属している。前者は他の追随を許さぬほどに磨き上げた施工管理技術力と人材力。後者は強力な営業力と人材力である。それでも今冬は例年どおり出せるかどうかは分らないというコメントつきである。 次に今回の調査で特徴的であったものを以下にまとめる。 1.賞与に大きく格差をつける企業が増加しつつある。 例えば「平均支給率は1.0だが、0から2.5まで幅をもたせた」 「支給率は0.8と低いが、今夏は思い切って格差をつけた」 など 2.給与の変動費化の進行で賞与は出さない企業 例えば「責任者クラスは歩合給に移行し賞与は出さない」 「給与を完全利益変動給にしている」 など 3.環境の変化を先読みし、早期に組織改革を敢行した企業は安定している 早期にリストラなどのコストダウンを図った企業は何とか売上低迷の中でも夏期賞与を支給出来ている。また、分社などを行って活性化を推進している会社もある。 「去年はリストラ直後で「0」だったが、今夏はその成果が出てきたので支給した」 「2−3年前に分社を実施、社内は活性化されており前年同様に支給した」 など 4.ゼロ回答の多くの企業は先が全く読めず不安であると訴えている 例えば「売上がじり貧の中で先が見えない」 「先が全く見えない」 「先が見えない。ここ3ヵ年程賞与は夏・冬とも出していない」 など 5.賞与を減らしても雇用を守りたいとする企業も2社あった @「普段無理させているので昇給・賞与は確保したい」 A「賞与を減らしても雇用を守りたい」 など 6.その他 1社だけだが、会社が賞与の総枠(源資)をきめ、あとは社員同士で話し合わせて配分している―という企業もあった。 こうしてみると企業の対応はさまざまであるが、中小企業の現実は大企業のように決して甘くはなく、益々厳しさを増しそうである。 末筆ながら、この度の調査にご協力頂いた60社には心から御礼を申し上げます。 以 上 |