今月の言葉

2001.4.25

NO.156

日本の貿易収支はモノの面では黒字を続けてきたが、ソフトの分野では毎年赤字であった。
が、ついにと言うべきか、ようやくと言うべきか、日本の特許収支が2001年度には初の黒字になりそうである。

特許収支 =[ 海外から受けとる特許使用料]−[ 海外に支払う特許使用料 ]

黒字の原因は、支払額がここ数年ほぼ一定なのに対して、受取額が急増していることにある。
1990年代に特許戦略を強化した成果の現れと言われるが、戦後56年目にして本当の意味の技術先進国の仲間入りを果たすことになる(現在黒字国は米国と英国のみである)

−幹部に訴える(109)−
− 部下指導(15)−

日経新聞の「私の履歴書」に歌舞伎俳優の中村富十郎氏の修行時代の模様が載っている。先輩からどんな教えられ方(先輩がどんな教え方)をしたのか参考になるので紹介してみよう。

まず松緑からは「六代目のおやじ親父はこういう型や、七代目のおやじ親父(幸四郎)はこうやる。だけどお前がいいと思ったのをやりなさい。どれも正しいんだ。みんな優れた型なのだから。それを知った上でやりなさい。」と教えられる。

勘三郎からは「ここは絶対大事なところだから忘れないように」と言ったあとは真中に行ったり、最初に戻ったりと教えるところが飛ぶ。

また、先代左団次からは「君のあのセリフなまってるよ、本所はホンジョじゃない。ホンジョーと言わなきゃいけない。だめだよ。江戸っ子じゃないねェきみはー。」などと指導されている。「歌舞伎のセリフは江戸風だからなまりには特にうるさかった。昔の人がどうしゃべっていたか録音はないから、芸の伝承と言うのはこんな形で繋がっていくのである(云々)……」とある。
その場その場で気づいたことや先輩の自宅に遊びに行ったときなどに教えてくれたようだ。歌舞伎という伝統を重んじる特殊な世界だからこういう教え方をするのだろう。合理性には乏しいが、大事なところを押さえた教え方をしている。

これを我々の仕事に当てはめてみると、

松緑からは 「仕事の全体の流れや基本パターン」を学び、
勘三郎からは 「絶対外せない仕事の急所」ともいうべきものを学び、
先代左団次からは「具体的なテクニック(技術)」を学んだということになる。

各々教え方は違っても、このようにして多くの先輩から仕事のエキスを教えてもらい、育っていくのはビジネスの世界も同じだ。
だが、ビジネスの世界では教え方は合理的、科学的でなければならない。
これを体系化したものが下記に示すTWI訓練の「仕事の教え方(4段階)」である。教え方の基本原則として覚えておこう。

先月号では新入社員に対する「三つの言葉」について紹介したが、今月は彼等に対する上司としての心構えを考えてみる。
早い企業ではすでに職場に配属されて、見様見真似で頑張っている新入社員を見かける。この段階で大事なことは、決して放任せず、絶えず「仕事振りが良いかどうか本人に言ってやる」心遣いが欲しい。新入社員は「この仕事のやり方で良いかどうか」不安を抱きながら仕事をしているかも知れない。彼らの仕事振りをよく観察し、その仕事振りがよいかどうか言ってやることだ。

(段階)

(ポイント)

(第1段階)習う準備 教える内容と手順(基本パターン)を文書化する
(第2段階)仕事を説明 特に急所を納得いくまで説明する
(第3段階)やらせてみる よく出来ればほめる。不十分ならやり直しをさせる
(第4段階)あとを確かめる 分からない時誰に相談するかを決めておく
時々チェックを行う

以上


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